Art Theory
  • 文化庁インターネット・プロジェクト:国宝、重文をはじめとする美術品9万点をインターネットで公開しようというプロジェクト。これは2000年4月1日現在、国宝・重文の57.6%が社寺の所有、11.9%が個人所有であり一般的に見ることが難し く、また日本美術書画は痛みやすいため、常設の展示が困難であることが背景にある。2002年、戦後三人目の民間出身の長官である、河合隼雄が就任して 以来、いくつかの興味深い政策の変更が見られる:
    • 「文化で元気になろう」と言う、明るいコンセプト
    • 大衆文化まで「文化の範囲」を広げようという意志
    • 主観的になりやすい個別の作品への助成から、明確なルールに基づく制度的助成への変更とそれに密接に関係する透明性とアカウンタビリティの確立
  • 美術館にかかわる総論・紹介
    • 『美術館で愛を語る』岩淵潤子、PHP新書296、263頁、2004年 :著者の美術館を気楽に楽しみましょうというコンセプトでの紹介本。本人曰く今迄で最もよく書けている、とのことであるが、著者の自慢話が鼻に付く。美術館紹介はURLも付いていて役に立つ。
    • 『美術館の誕生:美は誰のものか』岩淵潤子、中公新書1264、224頁、1995年 :美術館の位置づけと社会的役割を、歴史的、地域比較的に俯瞰した意欲的な書。著者の美術館シリーズでは最も評価できる。やや補足的な柄、その俯瞰図の中で、美術館をサポートする企業、社会のメリット・動機にも触れている。
    • 『美術館はどこへ?』暮沢剛巳、廣済堂出版、236頁、2002年 :アレキサンドリアのムセイオンから始まる美術館の流れを、最近の磯崎新言うところの第3世代ミュージアム、マルローの言う「空想美術館」の具現化への最近のにおいを論じている。文章はややこなれていないため、論旨がつかみにくいところはあるものの、興味深い俯瞰が得られる。
    • 『アメリカ、ヨーロッパ美術館紀行:私の美術館入門』中尾太郎、平凡社、325頁、1991年 : 出光興産の社員でいわゆる石油屋であった著者は、出光美術館を任されることになり、急遽2年間それぞれ3ヶ月筒欧米の美術館めぐりをするという、おいしい仕事にありついた。この本はそのとき訪れた有名どころを紹介する形でまとめてある。 財力が限られている、専門家の美術館紹介本は意外に米国の地方(NYやLA以外)の紹介が少ないが、著者は潤沢な予算と時間を駆使し、このような実は豊富な所蔵作品を誇る美術館も訪れている。
  • 美術館と言う設定:
    • 美術品の一般への展示と言うことを目的とした,美術館と言う施設の歴史は,概ねフランス革命に遡ることができる。旧来美術は、国家や共同体の明確な意図の元に,公共建築物に合わせて作成・設置されたり,王侯・貴族・大富豪のような非常に限られた階層の,観賞・収集の対象であった。神・王の国から,民衆の国への大革命において,ブルボン王家の美術収集が行なわれていたルーブル宮を、美術館(Musee)として一般に開放する施設として革命政府により一般公開された。王の特権の人民への開放,当象徴的意味に加え,反革命の動きを持つ周辺列国に対抗する意味から,フランス文化と国家の優位性のシンボルとして、芸術が捉えられたとき,その発言の場としても、美術館は捉えられていった。ミューズの語彙(xxx)このような意図を持った施設としてスタートした美術館であったが,それ以降,絵画・彫刻を一般が鑑賞する施設として,急激に世界中に広がっていった。この動きの背景には,明治維新直後のわが国における国立博物館の設置に見られるように,国民国家としてのアイデンティティの確保のために,固有の芸術文化を誇りを持って,保存・展示することにあった。この動きに伴い,特定の公共・個人の展示空間を設定して作成されて生きた絵画・彫刻が,明らかに,美術館での展示を年頭において製作されるようになってきた。現在の主要国の美術館構成を見ると,古代からの伝統的なものを中心(大英博物館,ルーブル,国立博物館)、近代を主な対象(オルセー美術館,テート・ブリテン、近代美術館)、現代美術を中心(ポンピドー・センター、テート・モダン、東京都現代美術館)の3構成になっている。その他のやや規模の小さい国,地域では伝統,現代の2構成になっているものも多い。展示方法としては,概ね美術史的に年代的な流れに沿って纏められているが,この背景には19世紀にな啓蒙主義的発想、人類が時代とともに進歩していく、が存在している。これに対する新しい試みとしては,2000年に開館されたロンドンのテート・モダンのように、時代を超えて統一的なテーマを読み取り作品を展示する手法がある。2003年10月に開館された東京の森美術館の最初の展示、Happinessでも用いられて いたのは興味深い。美術館の内部については,特に 現代美術はそれ自身は主張のない白い壁に展示されることが多いが,これは192?年に設立され,以降,世界の現代美術シーンをリードしてきたMOMA(ニューヨーク現代美術館)において確立されたもので,以降,建物自身が建築物としての表現をもちろんもちいるが,殆どの世界現代美術館で つかわれている。『渡辺 『表象文化研究(’02)』から主に再構成)
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