ヨーロッパクラブ事情:チケット購入とファンショップ

Updated: September 9, 2014
Sendo & Sendo


本レポート(メモ)は、2014年8月に、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス(ロシア:2013年、ポルトガル:2012年、ドイツ:2011年等も含む)でのサッカー観戦に関わるチケットの入手およびファンショップでのグッズ購入等を通じて得られたヨーロッパのクラブの情報を整理したものである。

■総論
1.スタジアム
訪問した国のスタジアムは凡て、サッカー専用スタジアムであるが、大きく分けると、スタジアム機能単独(クラブ事務所、ファンショップなどを含む)のタイプと、ホテルや商業施設(店舗やスーパー)やその他事務所などを含む複合施設形態のものに分かれる。複合形態のものは訪れた中では比較的少なく、ゲント(ベルギー)、ヘーレンヘン(オランダ)、ブレダ(オランダ)、スポルティング(ポルトガル)、およびホテルのみが付随しているデュッセルドルフ(ドイツ)とレバークーゼン(ドイツ:ベイアリーナ)のみであった。
日本の場合はスタジアムの多くが公設の運動施設であるため商業施設などとの複合化がみられないが、施設の総合的運用効率を高めるためには、特にオランダの小都市のような複合化は、制度変更も含め、検討に値しよう。また、施設の複合化という点では、設備的に大掛かりになるが、シャルケ(ドイツ、ゲルゼンキルヘン)のように、芝生全体をスタジアム外に移動させ、コンサート会場としても利用できる形態もある。また、多くのクラブでは何らかの会員登録したサポーターが試合前に過ごす(飲食が出来る、いわゆる専用ラウンジ)ための専用スペースをスタジアム内に設け、サポーターのクラブに対する親密度を高める試みをしているようだった。
 ドイツ・オランダではほとんどの場合、試合日の公共交通期間(バス・トラム・地下鉄)の料金が無料となり(正確には、チケット料金に含まれている)、観戦者の移動の効率性と利便性を高めていた。

2.チケットの入手
チケットについては以下の形態の組み合わせで整理できる:
1.
販売形態:クラブ直接か外部委託(1)
2.
チケットの形態:印刷したチケットかE-チケット(2)
3.
印刷したチケットの受け渡し:指定住所に郵送かスタジアムでの受け取り
このうち、クラブが直接E-チケットとして販売する組み合わせが最も効率がよく、普及し出していると感じられる。また、印刷したチケットにしろ、E-チケットにしろ、バー・コードが印刷されており、入場する際に、バー・コードを読み込ませて入場する。これは、入場する際の確認の効率を上げることと、特にE-チケットの場合、不正にコピーして販売する犯罪を防ぐためでないかと推察される
(3)。また、チケットのチェックは、すべてのスタジアムが、入り口でのバー・コードと、席のブロックの入り口での人間による確認の2回である。
チケットの販売はクラブの会員番号をもとに行われる形態が基本で、実際、オランダのPSVやアヤックスのようなクラブは、それ以外の流通量は限定されている。PSVの場合は、海外からの希望者には、チケットと物販・飲食をパッケージにした特別商品のみ、事前振り込みで提供している。

3.ファンショップ
物品を販売するファンショップは、スタジアム内に設けられているものが最も多く、また、スタジアムとは別棟になっているものは設計の関係と思われる。フェンロ(オランダ2部)のように仮設的な作りの競技場では、ファンショップ(含むチケット交換所)が、別棟仮設であり、フローニンゲンのように、周囲の複数の建物と合わせたコンプレックスの構造の場合は、ファンショップが独立したビルに入っている場合もある。アクセスがやや悪いスタジアム(ポルトガル:ブラガ;ドイツ:デュッセルドルフ、レバークーゼン)の場合、常設のファンショップはスタジアムと離れた市内に設置しているケースもある。44.スタジアムでの飲食品販売
スタジアム内での飲食については、飲み物(ビールを含む)と軽食である。軽食は各種ハンバーガー(パンにフランクフルトなどを挟んだホットドックスタイル)が中心で、各国、クラブで大きな差はない。観客も多くを求めないのだろうが、このあまり手間のかからないメニューが国に変わらず定着しているようだ。支払い形態には、大きく分けて、①現金、②仮想マネー(チケット)、③プレペイド・カード、という3つの形態がある。
仮想マネーは1単位2から1.5ユーロでそのスタジアム内で使用可能。仮想マネーを購入するためのブース(有人)や自動販売機がある。現金決済は、販売ポイントでの現金のハンドリングがあるため、ほとんど見られない。プレペイドはチャージ型で、個人のカードに、現金またはクレジット・カードでチャージをする。この形が急速に多くのクラブで普及しつつある傾向が感じられた。支払いも速くトレンドなのだろうが、ベルギーやオランダ等の中小クラブでは、予算の関係か、仮想マネーの段階のものも多かった。旅行者にとって、チャージ・カードは、デポジットが必要(シュツットガルト、2013年)だったり、ちょうど使い切るのが難しかったり、使いにくさはある。

フローニンヘンで遭遇した大ミートボール

■各クラブ
1.ベルギー
(1)Sporting Lokeren(ロケレン)
小さな町のクラブは、14年間リーダーシップを発揮する辣腕CEOにより、スタジアムは5000人から14000人までに成長し、2014―15は、ELでイングランドのハル・シティをプレーオフで破るまでに至った。地元の中堅企業をスポンサーに加え、これら企業幹部の社交場として、家族のような雰囲気を作り上げている。スタジアムにはクラブの雰囲気を持つパーティ会場があり、試合の前後は地元の人々の社交場となっている。日本の小さなクラブにとってはとても参考になる事例だ。
また、ベルギーリーグで銀行からの負債のない3つのクラブのひとつである。

陣頭指揮する会長

ELプレーオフでイングランドのハル・シティを破る

スタジアム付属の巨大パーティ・スペース

スタジアム

2)Gent
中堅都市ゲント(ヘントとも日本では表記)新しいスタジアム。市街地のすぐ外にあり、スーパー、スポーツクラブなどがスタジアム内にある。スタジアムにある常設のファンショップは多くの日に開いているようだ。
3)Liege(リエージュ)
日本代表の川島が所属している、旧司教都市で重工業地帯でもあったリエージュのクラブ。川沿いのスタジアムはかなり古い。ファンショップはスタジアム内にある。試合当日も有料のバスのみが移動手段だが、本数も少なく、観戦者のための効率性や利便性がほとんど確保されていない。
(4)Lirse(リール)
住宅地の中に忽然と現れる。日本代表の川島がスタンダード・リエージュに行く前にプレーしていた。チームのホーム・ページには日本語もあるが、ここ何年もアップデートされていない。ファンショップはスタジアム内にあるが、試合日以外、空いている日は少ないようだ。
(5)Club Bruge (クラブ・ブルージュ)
ブルージュ郊外にある老舗クラブ。ファンショップはスタジアム外に別棟となっている。
2.オランダ
(1)フェイエノールト
その形状からデカイプ(桶)と呼ばれるスタジアム。ファンは熱狂的であたたかい。Viagogo経由でクラブで予約(クレジットカードで事前支払い)は、当日受け取りだが、地元ファンと同じ窓口が大混雑で時間がかかる。ファンショップはスタジアム内にあるようだが、なぜか試合当日も開いていなかった。
(2)PSV(アイントフォーヘン)
大手電機メーカのフィリップスがサポートするこのクラブはすべておいて効率が良い。ほぼ町の真ん中に位置するスタジアムは、スタジアムの建物への入り口が道路に面している。そのためもあるのだろうか、試合終了直後、警察は近隣の道路を短い時間、車両通行止めにし、歩行者がスタジアムから移動する効率を図っている。
立派なファンショップはスタジアム内に位置している。海外からのチケットの購入は2種類(ゴールデン、シルバー)のパッケージになっており、チケット、ファンショップでの商品券、飲食チケット(仮想マネー)の組み合わせとなっている。購入は事前の銀行振込みだが、受け取りは専用窓口(それも建物の中の専用の部屋)で行われ、対応も素早い。
(3)FCトゥエンテ(エンスフェーデ)
町外れにある専用(商業施設などが敷設されていない)スタジアム。ファンショップはスタジアム内にあるが、開いている日は限られているようだ。この田舎の街にも、宮内が移籍(レンタル)したことにより、日本人が訪れるのだろうか?
(4)ズボレ
近年、第2勢力の一つとして成長しているクラブ(ELはプレーオフで敗れている)。小ぶりだが近代的なスタジアムは、ホテルやスポーツクラブ、各種のショップが含まれている複合型。ファンショップは常時開いているわけではない。
(5)フローニンゲン
天然ガスをベースとする産業もあり、意外に国際的な北の町。町の南にあるスタジアムは、周辺と合わせて一体的に開発されている。高層ビルも含むいくつかの隣接する建物も新しい。スタジアムにはいくつかのレストランなど(外から入れる)が目立つ。ピッチは掘り込んで作ってあるため、座席までのアクセスが容易であるとともに、外見から予想されるより中に入ると大きく感じる。ファンショップは別棟の2階建ての建物。海外からのチケットはアイントフォーヘンと同様、事前の振込み方式だが、ビッククラブとの試合以外は、当日購入も難しくない。スタジアムでの飲食販売は仮想マネー(Muiten)による。なお、このMuitenという言葉は、ベルギーのオランダ語圏でも使われていた。
(6)ヘーレンヘン
オランダの中の少数民族地域フリーズランドのヘーレンヘンにあるクラブ。最近まで、ファン・バステンが監督をして力をつけた。街中にある複合施設型スタジアムには、フリーズランド州の事務所の一つも入っている。ファンショップは曜日によっては時間の制約もあるが、ほぼ常時開いている。なお、チームのエンブレムはフリーズランドの旗であるが、そこにあるハート状のマークは、ハートではなく、フリーズランドの湖に生息する、州を象徴する魚を表している。
(7)AZ(アルクマール)
強豪
AZのスタジアム。単独施設でスタジアム内のファンショップは試合日以外でも開いている。
(8)ブレダ(NAC)
ベルギーに近いこの町のスタジアムは、ショッピング・センターの中にある感じだ。そのひとつで高級食品スーパーであるFoodmarktはチームのスポンサーにもなっている。
スタジアム内のファンショップは大体開いている。
(9)フェンロ(2部)
現在は大津、過去には本田や吉田も在籍したドイツ国境に隣接したクラブ。1部の下位と2部の間を行ったり来たりする実力。イングランドスタイルの梁を支える柱が残る古いスタジアムは、メインスタンドの下段と上段の間に土森の部分が残っているご愛嬌。チケットの予約はメールで行い、ファンショップを兼ねるチケットセンターで支払える。ただし、この事務所は試合日の他、週1日しか担当者が来ていないようだ。全体的に組織運営はアットホームで、小さなスタジアムの観客の入りは3割ぐらいだった。
3.ドイツ
(1)アイントラファト(フランクフルト)
町の南、空港の側にある巨大専用スタジアム。チケットはE-チケットへ移行している(2014年)。ファンショップはスタジアム内にある。
(2)ドルトムント
専用スタジアム。人気があるため、ファンショップは別棟にしている。海外からのチケットはインターネットを通じてクレジット・カード決済で行える。専用窓口で受け取り(2011年)。
(3)ホッヘンハイム
基幹システムとして著名なZAPの創業者がチームとスタジアム建設をサポート。近年、急速に力を増した。スタジアムは専用。チケットは2013年時点では、E-チケット化されていない。
(4)ニュルンベルグ
ナチ党大会が行われた施設跡などもあるニュルンベルク郊外の巨大公園に位置する。チケットはViagogo経由で、窓口で受け取り(2013年)。
(5)シュツッツガルト
ベンツのサポートもある近代的な大スタジアム。ベンツ博物館が隣接している。チケットはViagogo経由で、窓口で受け取り(2013年)。
(6)ハノーファー
当日チケットのみ購入し、観戦したため不明(2011年)。
(7)フライブルグ
クラシカルなイングランドタイプ。ファンショップは別棟にしている。緑豊かな周辺には別のスポーツ施設もある。
(8)ヘルタ(ベルリン)
有名なベルリン・オリンピック・スタジアム。ファンショップはスタジアム内にある。スタジアム・ツアーなどもあるため、ファンショップはほぼ常時開いている。
(9)レバークーゼン
ホテル併設のスタジアムであるが、ファンショップは市内でオープン。
(10)シャルケ(ゲルゼンキルヘン)
完全密閉式の近代的スタジアム。芝生面全体を外に移動し、コンサートなども芝生を傷つけずに行える。ミューアムがスタジアム内にある。ファンショップは隣接するトレーニンググランドに作られている。トレーニングを見に来たファンが買い物をする構想か。
(11)ケルン
膨大な公園内に位置する。ファンショップはスタジアム内。
(12)ザンクト・パウリ(2部)
ハンブルグの繁華街に位置する公園に隣接。敷地の拡張生成がないため、小ぶり。スタジアム内のファンショップでは、他のクラブにないようなセンスの良いグッツが売られている。このクラブの熱狂的なファンに、デザイーナーやアーティストが多いためであろうか?
(13)カールスルーエ(2部)
スタジアムは旧式で、立ち見席も多く残る。領主が作った円形の形が有名な公園の中に位置する。なお、この公園の南端には、著名なKIT(カールスルーエ工科大学)も位置する。
(14)カイザースラウテルン(2部)
(西)ドイツがベルンの奇跡と言われるワールドカップ初優勝に輝いたときの主将のフリッツ・ワルターを擁した名門クラブ。ファンショップの前には、ワルターや、ヘルベルガー監督などの銅像がある。
(15)デュッセルドルフ(2部)
メッセなども含まれる、大施設の一部。スタジアム内にホテルもあるが、ファンショップは、試合日以外は開いていない。常設のファンショップは市内にあるそうだ
4.フランス
(1)モンペリエ
トラムの駅からアクセス。常設のファンショップはない模様(2011年)
(2)リール(Lille)
新設の開閉式のスタジアム。駅からは少し歩くが、地下鉄で中心部から向かえる。ファンショップはスタジアム内で運営。チケットはE-チケットが普及している。
5.ポルトガル
(1)ポルト
ユーロで作られた巨大スタジアム。地下鉄の駅から直接アクセス。地下には巨大駐車場があるようだ。ファンショップはスタジアム内部。
(2)ブラガ
市街地の外にある。付帯施設はなく、ファンショップは市内中心部に別途、設置されている。
(3)スポルティング(リスボン)
スーパーマーケットも設置されている。ファンショプはスタジアム内。
(4)ベンフィカ(リスボン)
CL決勝なども行われる豪華施設。スタジアム・ツアーではトロフィー管理も見学できる。ファンショップはスタジアム脇に作られている。
6.スペイン
(1)レアル【マドリード】
スタジアム・ツアー、ファンショップが付設。
(2)アトレチコ【マドリード】
充実したファンショップがスタジアム内にある。
(3)バルセロナ
ファンショップは未確認(1998年)
(4)バレンシア
町の中心部にあり、ファンショップはスペースの関係からか、近隣の建物に作れている。
(5)ビジャレアル
町の中心部にあり、小さなファンショップはスペースの関係からか、近隣の建物に作れている。
(6)ラ・コルーニャ
ファンショップはスタジアム内。海に面し、居住地が少ない中心部にある(この辺りはリアス式海岸の語源にもなった地形)。
7.ロシア
(1)ゼニト(サンクト・ペテルブルグ)
運河に面したユニークなロケーション。E-チケットも開始されている(2013年)。ファンショップは市内最大の繁華街、ネフスキー大通りにある。
8.ルクセンブルグ
(1)デルファンデル
小国の東側にある小コミュニティ。2013年のELでは予選の3回戦まで進み、ドリーム・チームと言われた。
◆参考資料:
1:スタジアム情報サイト(住所もあるので、GPSのセットも出来る);http://www.stadiumguide.com
2:
比較表
UQU12MW79QGQNLEM