イスラム関連情報(更新:2008/12/31)
  • イスラム世界
    • アラブと米国
      • 池内恵[さとし](2008)『イスラーム世界の論じ方』中央公論社を読み終えた。池内氏の本は『コーラン』(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=808607442&owner_id=9617647)他、三冊目だが、出版という形を通し、専門分野への深い物事の理解と問題提起を、卓越した文章力と、魅力的な構成力で提供してくれる方だ。 イスラームという日本では、誤解というか、単純な表面的な理解をされやすい分野を、わかりやすく教えてくれる。イスラームという世界観、絶対の真実の捉え方などと、中近東という言葉から分かるように、欧米とアジアの間にあるという位置づけによる、欧米の価値観との歴史的対立など、示唆に富んでいる。欧米の価値を一気に取り入れ今日があるのが日本であるが、今となっては歴史を忘れていることもあって、イスラームを考えるときの、欧米との価値観との関係によって生じる緊張は、日本を問い直す軸ともなる。
        本書の構成は書き下ろしではなく、氏が雑誌、新聞に発表したものを再構成したため、色々な話が豊かに含まれている。そのうちのひとつ、デンマークの童話作家が、西洋文明の当時辺境ともいえるデンマークから、ドイツ・パリという、文化の中心に触れ、疎外感を感じつつも認められていったことに触れた、エッセイは、似た文脈で、ノルウェーのムンク(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=608240776&owner_id=9617647)を思い出す。さらに、現代イスラームの対アメリカ間にもつながる、近現代のアメリカに触れ、一人はアメリカを約束の地とし同化したヒッティと、魅惑的が堕落した女と見たクトゥブという、氏が2006年にアメリカ研究のシリーズ出版に発表した、二人の異なる体験に繋がってくる。 アメリカを訪れ、その社会に活力と人類の未来を見たものとしては、これよりはるか前のフランス人、トクヴィルによるものが有名だが、イスラーム世界では、ヒッティとクトゥブの方が知られているようだ。 ちなみに私自身、デンマークでインターンシップをしていた時、アンデルセンの故郷のオーデンセのアンデルセン博物館で、池内氏が取り上げた欧州旅行での疎外感と、イタリアでの安住感が、「みにくいあひるの子」を生んだことに、今でもとても深い印象を持っていたが、氏の本により、繋がった気もした
      • ★★[2007/4/28]村上由見子(2007)『ハリウッド100年のアラブ:魔法のランプからテロリストまで』朝日新聞社:かつて元放送大学副学長で演出家、能作家、フランス文学研究者(主にポール・クレーデル)である渡辺守章氏が率いていた,東大表象文化研究の出身の著者。 ものを表す表象(英語で言うrepresentation)のうち、対象として(主に)米国における”アラブ”の表象を、特にマスに影響力の強いハリウッド映画をたどることで追っていく。 聖書の世界、アラビアンナイト、アラジン、十字軍、ロレンス、『シーク』に見る野蛮で西洋女性に以上に強い性的興味を持つとするアラブ男のイメージ形成、イスレエルとパレスチナ問題、そして近年のテロ関係。総てが意図的とはいえないが、誤った、都合の良いイメージ(表象)が以下に形成されて行ったかが解き明かされる。 著者がここにある映画をすべて見ていたとしたら脱帽ものの力作。(2007/3/4)
    • 池内恵(2006)『書物の運命』:著名なドイツ文学者の息子で家にテレビがなく、書物に以上に親しんできたイスラム研究者の著者が主に、イスラム・アラブ世界に関する本について行った書評をまとめたもの。イスラムを深く理解したいときのよい入り口データ・ベースとなりうる。
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